「早産・低体重児出産と歯周病」

歯科検診  世界保健機構では出産状況を、37週以降を「生期産」、37週未満を「早産」としています。また、新生児の体重による分類では、2500g以上を「正常体重児出産」、2500g未満を「低体重児出産」としています。日本において、近年、生期産かつ正常体重の出産割合が減少し、早産と低体重児出産の割合が増加しています。早産と低体重児出産の大きな要因は産婦人科器官の感染症です。しかし、早産と低体重児出産の3割ほどが原因不明であり、慢性感染症である歯周病もその候補の1つとして注目されております。


 これまでの研究で早産・低体重児出産と歯周病に対する関与が報告されています。チリの研究報告で、早産・低体重児出産の発現率を調べた研究において、妊娠中に歯周治療を受けた群と受けなかった群で、歯周治療を受けた群では早産率が5.65%、低体重児出産率が1.15%であったのに対し、歯周治療を受けた群では早産率が1.42%、低体重児出産率は0.71%であり、歯周治療を受けた群の方が低い早産・低体重児出産の発現率であったと報告しています。また、同様にブラジルでの研究報告では、妊婦を「歯周病であり歯周治療を受けた群」「歯周病であるが歯周治療を受けなかった群」「歯周組織が健康な群」に分け、それぞれの群における早産・低体重児出産の発現率を比較検討しています。こちらの報告によると、早産・低体重児出産の発現率は、歯周組織が健康であった妊婦が4.1%、歯周病であり歯周治療を受けた妊婦が7.5%、歯周治療であったが、治療を受けなかった妊婦が79.0%であり、歯周病が早産・低体重児出産に影響を及ぼしていたこと、また、歯周治療によってその発現率が低下したことを報告しております。


 それでは、なぜ歯周病が早産・低体重児出産に影響を与えると言われているのでしょう。一般的な出産では、出産前に、産婦人科器官における炎症性サイトカインという物質の血中濃度が上昇します。一方、お口の中のバイキンにより歯周病を患うと、歯ぐきで炎症性サイトカインの産生が増加します。歯周病で産生された炎症性サイトカインが、血液の流れにより産婦人科器官に運ばれ、生期産前に炎症性サイトカインの血中濃度が上昇し、早産・低体重児出産が現れやすくなると言われております。


 妊娠前に、もしくは妊娠して早期に歯周病を治療することで、早産・低体重児出産への関与を防ぐことが出来るでしょう。今後、出産を考えられている女性の方、妊娠されている方、歯周病に罹患していないか、歯科医院での診察を受けられることをお勧めいたします。


掲載日:2012年11月20日
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